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煩悩を108数えてノックアウト

(どつ×独歩   4P  盧笙視点  R18)

「あの簓がなあ」
 年の瀬、お笑いコンビを組んでいたころは毎年簓と過ごしていたというのに、今年はどうも違うらしいと気がついたのは、あいつが「今夜は帰らんわ」とスマートフォンをつつきながらえらそうにものを言ったときだった。
 なにが帰らんわ~や、俺んちやぞここと緑色の頭をテスト用紙の束で叩くと、簓はなにがおもろいんかへらへら笑ってこたつに入った背中を丸めた。
 そんでもって、同じく俺の家に図々しく上がり込んでタバコなんか吸っとる阿呆詐欺師も「ああ、俺も今晩はちょっと出るわ」なんてふてぶてしい顔して言うもんだから、その煙草をぶんどって灰皿に先を押し付けてやった。
「……大晦日にすごしたい相手なんて、あんひとしかおらんねやろなぁ」
 屋台のおでんをつつきながら、ため息をつく。簓はあれで愛情ぶかいやつだから、俺たちチームを大事にしていて、よほどのことがない限り他を優先するなどありはしないだろう。
 その「よほど」が起きて、年末に親友を一人にするなんてことがあるわけだから、まあそりゃ、恋人と会うっていうんだろうなと大概予想はつく。シンジュクの、あの、丁寧なサラリーマンーーーー観音坂独歩さん。
 簓があの、引っ込み思案で世話のしがいのありそうな人をほっとけなさそうにしていたのはよく知っているし、彼の方も、そんな簓に対して満更でもなさげだったから。報告があったわけではないけれど、あいつが一人で出掛けるのも増えていたし、ああ、そういうことなんやろな、と思っていた。
「は~~~~、一人かあ。なんやかんやで寂しいなあ」
 あったかい大根を箸で切り分けて、口に放り込むとしみた出汁が「あたたかみ」っていうものを感じさせるのもよくなかった。そしてまた大きくため息をついて顔をあげると、なんだかよくよく知った後ろ姿が目に入った。
「ーーーー零? ……と、なんで観音坂さんがいっしょにおるん!?」
 あのクソ詐欺師の毛皮からぴょこんと飛び出した赤い頭は、どう考えても「簓の恋人のはずの」観音坂さんだった。あんまりにも驚きすぎたものだから、つい屋台のカウンターを叩いてしまいガチャン! と皿が音をたてた。
 なんで観音坂さんが、零なんかとおる? 簓とは違うた? 俺の勘違いやったんか?
 二人の背中は、ホテル街のほうへと向かっていき、俺は急いで屋台の親父にお代を叩きつけると、ショルダーバッグをかけて二人を折った。
 もしかしたら、あん人、なんか騙されとるんかもしれん。零のやつがなんかしよったのかもしれんし、止めなあかん!
 正義感と、義務感が俺をそうさせた。清潔そうなラブホテルに吸い込まれていく二人に、ちょっと待てや、と声かけんのにそう勇気はいらんかった。

・・・
 
 観音坂さんが、零の下敷きになって潰されて、ビクビクと震えている。ばちゅ、ばちゅ、彼のうすい尻たぶが零の腰にあたるたびやらしい水音がして、耳を塞ぎたくて手を挙げるとそれはさせないと横に立っていたもう一人が俺の手を掴む。
「あーあ、あんなんされたらたまらんわぁ。めちゃよろこんどってかわええなぁ」
 なあ、盧笙? にこにこと、いつも通りの笑みを見せて、簓は言った。 
「あっ、あっ、零さっ♡ 零さんっ、好き……好きっ♡」
「好きかぁ、独歩くん。逃げられないのがお好みとは、ドMだねえ」
「はぁ゛~~っ、潰れ、あ゛っ♡ 潰れる♡ つぶされてる♡」 
「独歩さん、ほんまに寝バック好きやねん。ああやって、零や俺にされるとぎゅーってナカ締めてなあ。一生懸命甘えてくるんよ。ほんま、抱き潰しがいがあるわぁ」
 零の激しいピストンに泣きながら逃げ腰になる観音坂さんの腰をがっつり掴んで、逃がさないとガツガツ上から攻めている光景は俺にはどうしても暴力的に見えたが、潰されている観音坂さんはというと、だらしなく顔をとろけさせて媚びるような声を出してシーツによだれを垂らしていた。
 視界だけでもういっぱいいっぱいなのに、簓が実況するもんだからたまらない。
「おくっ、おっ、おぐっ♡ すご♡ 俺の子宮っ、零さんの形になっちゃってる……♡」
「ん、そらええこった。俺の形にして、白膠木簓くんのなんかじゃイケねえ専用オナホにしてやろうか」
「れ"ぃ、さん♡ はい、はいっ。オナホにしてください♡ お願いしますっ♡ おすしきゅうのなか、いっぱいお射精してください♡」
 AVでも見いひんぞこんなん、というような台詞を吐きながら、観音坂さんは身も世もないというふうによがりまくっていた。見ていられなくてうつむくと、簓がまた要らん口を開く。
「根本までチンポくわえてやらしいなぁ~♡ うつむいとらんとだらしない顔見いや。男のこと好きで好きでたまらんって顔しとる。あんなトロトロの媚び顔、どんな女もせえへんで?」
「ほら、独歩。お前さんの大好きなザーメン、出すぞッ!」
「ありがとうございますっ♡ 奥にいっぱい出してっ♡ 精液で蓋してくださいっ、アッ、ん、ん~~~~~~ッ♡」
 イきすぎて魚のように跳ねている観音坂さんの中に、零は射精したようだった。あれは本当に、真面目そうだった彼なのだろうか。こんな、だらしない顔で、うっとりと男の精液を受けるような人間だったろうか。
「ふーっ♡ ふーっ♡ ……ッ♡」
「あー、でたでた。出されてイッちまったか。おい簓ァ。お前どうする」
「そら、見るだけ見て帰るなんてことするわけないやろ」
「お前も悪い奴だなァ」
「あんたほどじゃないで。人の懸想しとる相手勝手にハメ殺しよってからに」
 剣呑な雰囲気が、ホテルの一室に充満する。いてもたってもいられなくなって、俺は裏返りそうになりながら声を絞り出して、立ち上がった。
「さ、簓! 俺……おれっ、帰るな。なんか邪魔したみたいやし……」
 やぶをつついたらヘビが出た。零を追いかけてたどり着いたホテルの前で呆然としていたら、簓が後ろからやって来てこんなところに無理矢理引っ張り込まれたが、どう考えたって俺は場違いだ。二人が観音坂さんとどういう関係かはようわからんが、まともではないことは確かで、そういうところにいるべきではなかった。
「なぁんも? なんも邪魔やないで。なあ、零」
「ああ、なにも」
 だのに、この二人ときたらこのいつも通りの態度で、ニヤニヤと笑っている。なんなんやお前ら。こんな、犯罪紛いのことしよって、許されるんかいな。
「な、そうだろ?」
「~~~~ッ♡ イッたばっかだからっ、もっとゆっくり……!」
 ぐちゃ、と精液を垂らしっぱなしの尻に指を突っ込んで、零は中をかき混ぜる。茫然自失状態だった観音坂さんは、目を覚まして、そして、やっと焦点の合った目でこちらを見た。
「う、えっ。あっ? つ、躑躅、森さ?」
 さあ、と血の気が引いた顔で、観音坂さんは我にかえって慌て出す。俺に見られとるなんて、思ってもいなかったようすで、そらこんなとこ見られてたらそうなるわな、という風にあわてて起き上がって体を隠そうとした。
「なーにウブのふりしてんだ。ケツぐちゃぐちゃされたらどうしようもねえくせしてよ」
「あ゛ッ、やめっ、ぐちゃぐちゃやめっ♡ なんで、いや、やだっ! 見ないでっ、見んなっ♡ 零さんっとまっ、とまって♡ 止まれってば……♡」
「ほらほら、だぁいすきなとこいじってやろうなぁ。さっきから触ってって、指に吸い付いてくらあ」
「んぎっ、うあっ♡ こわれっ、こわれゅ♡」
「観音坂さん……」
「だめ、だめっ、つつじもりさぁんっ♡ 見ちゃやですっ♡ こんな、こんなおれ♡ ごめんな、ごめんなさいっ♡」
 ごめんなさい、ごめんなさいと謝りながら、観音坂さんは零にめちゃくちゃにケツをいじられて、それで、ぷしぷしと音をたてて前から潮をーーーーたぶんあれが潮なんだろうーーーーを噴いていた。
 握った手に汗がにじんで、あつい。こんなん見たらあかんと思うのに、はよ帰って「なかったこと」にしたいのに。
「ありゃ、盧笙センセ。こないに膨らまして、興奮したん? 独歩さん、エッチやもんな」
 後ろに立った簓が、その指が、俺のズボンの前で確かに膨らんでいるそれを指し「悪いセンセやなあ。お前も挿れたいんやろ」と笑うので、もう後には戻れなくなってしまったのだ。

・・・

「んっくぅ♡ んぁっ、躑躅森さんの……、俺に入ってるっ。すご、硬くていいとこめちゃくちゃ擦るっ♡」
 勝手もなにもわからんまま、ただただ腰を振るだけで、観音坂さんは俺にぎゅうぎゅうと抱きついて、すき、すきと繰り返す。始めて挿入した他人の胎内は、たとえソレが男の物であってもやわらかくうねって、オナホなんかと比べものにならなんほどに気持ちが良い。
 さっきまで嫌がっていたのは何なのか、いれられてしまえば彼は熱っぽい目で俺を見て、キスをねだるものだから、もうなにがなんだか分からず思うさまにその薄い唇にかぶりつくしかなかった。
「ン、んうっ♡ ……ンッ、んちゅ、んっ♡」
 キスなんかしたこともない。ただ、がむしゃらに口の中を舐めて、舌を吸ってやれば、彼は中をきゅうきゅうと締め付けて悦びを露にした。
「ン、ンッ♡ んっ♡」
「ぷはっ……ああ……。観音坂さん、いつもこんなんで簓や零のくわえとるん? 真面目なひとやとおもっとったから、遊んどるとはおもわんかったわ」
 こんな、誰彼構わず受け入れるような、だらしのない人だとは本当に思っていなかった。陰気そうだった顔は、今や淫靡なものにと変わっていて、男の性欲を誘う娼婦みたいだった。
「せやで、いーっぱい遊んどるはしたなーいこやもんな♡ 観音坂さん」
 ハメたまま座らしていた観音坂さんの背中側にやって来た簓が、彼の耳元に口を寄せた。
「はい、そうです♡ 俺、いっぱいいっぱい犯してもらってました♡ 零さんのおっきいおちんぽもっ、簓さんのいじわるなのもっ♡ 大好きでっ」
「なあ、俺、ずっと観音坂さんは簓の恋人やとおもうとったんやけど」
「精液タンク(こいびと)です♡ 零さんのおくさんで♡ 簓さんの、恋人っ♡」
「ちじょやないか、そんでこんな、俺までくわえこんで! ええんかいな!」
「ごめんな、ごめんなさい♡ 俺、へんたいだから♡ えっちなこと大好きなんですっ! ずーっと、躑躅森さんに犯されたいって思ってましたぁ♡」
 行き止まりになっているところを乱暴にごんごんと突くと、そこが先っぽにキスをするみたいに吸い付いてきて気持ちがよく、つい殴打するようにピストンしてしまう。
 座位の姿勢で跳ねあげるように、パン! パン! と律動を繰り返せば、彼はよだれを垂らして悦び、よがった。
「すごいっ♡ わからせられるっ♡ 躑躅森さんすごいっ♡ オナホみたいに乱暴にされるとわからせられちゃう♡ 受精準備しちゃう~~~~っ♡」
「盧笙に夢中やなぁ、独歩さん。そんなにええ?」
「どうていさんのピストンすごい♡ 無知ピストン♡ イッてるのに♡ やめてくれないです♡」
「ふうん、なんや嫉妬してまうなあ。ほら、独歩さんのだ~いすきなやつしたろうな」
「んっ♡ おっぱいだめっ♡ 簓さんおっぱいだめ♡ むりむりむり! んきゅっ♡」
 向かいの簓が、観音坂さんの胸に手を回して、きっと俺が来るまでにさんざ弄くり回されていたろう乳首を、きゅっと詰まんで遊び始めた。
 それだけで観音坂さんはくたくたになって、俺に薄いからだを預けるようにして感じ入る。
「息のあったコンビプレーだなぁ、お前さんたち。ま、両方突っ込みだけどな」
「親父くさあいギャグいうなや零」
「ゼロ点やわ」 
「手厳しいな」
 休憩し、水を飲んで観戦していた零がちゃちゃを入れてきて、笑う。異常な空間だった。いつものような会話をしているのに、まったくいつもとはちがう行為をしている。
「はひっ、んっ♡ 止まっちゃ、止まっちゃやですっ♡ ちゃんと使ってくださいってばっ」
「ああ、すまんな独歩さん。いっぱいかわいがってやろな~」
「ひにゃっ、あ"っ♡ いきなりつよっ♡ やばっ、腰止まんなっ……♡」
「……ッ! 観音坂さ、急にしめんなっ、出る、出るからっ」
 簓にぎゅうとひときわ強く摘ままれると、イッたのか腹のなかが痙攣して締め付けがつよくなった。射精しそうになってこらえると、簓は不満そうな顔で俺を見た。
「ん゛、んっ♡ んっ♡ ぉッ、ささらさんっ、伸びちゃ、胸伸びるからそんな強く、あッ!?」
「伸びたら一緒にブラジャーでも選びにいこな♡ 盧笙、俺もハメたいからはよイッてや。童貞のくせに遅漏やねん」
「うっ……さい! こんなん知らん、観音坂さんが悪いんや。恥も外聞もないケツしよって!」
「俺のせいならっ、仕方ないですよねっ♡ 中に出してもらって、躑躅森さんの精液漬けにしてもらうしかないですよね、ねっ♡ ほら、イッてくださいっ、あ゛っ♡ ……ッ♡」
 えぐるように腹のなかを殴ると、途端に嬉しそうにする。こっちももう遠慮もなくぐっぽぐっぽをやってやれば、いかないでと絡み付いてくるので、もう我慢ができなかった。
「んあ~ッ! 精子きたっ♡ 零さんのと混ざってる♡ は、あっ、躑躅森さんのっ、おちんちんかわいいっ♡ 卒業おめでとうございますっ♡ 俺が先生になっちゃった♡ また次もいっぱい出して、孕むくらいにしてくださいね♡」
「ど~っぽさん、次俺やで。たーんと種づけしたるから、覚悟しいや」
「ん……♡」
 ぬぽ、と抜くと、観音坂さんは甘えるペットのように簓の方を向いてペロペロと口をなめた。
 どこかで除夜の鐘が鳴っている。次があるのか、と俺は疲れにも似た気持ちと、またこの人を征服できるのか、という気持ちで鐘の数を数えていた。


 

おわる

 

 

 

 


あとがき
どこやねんここ。一人称とか間違えてないと思うけど、まちがえてたら連絡ください
  

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