ミルク・ラベンダー・キャンディコット
(理独 8歳×29歳。ご都合マイクで8歳になるやつ R18)
「ともかく、君がいるのは二十年後の未来なんだ」
俺がそう説明すると、レトルトのよこすか海軍カレーをおいしそうにほおばっていた利発そうな少年――毒島・メイソン・理鶯8歳は、くりくりの目をぱちくりさせて「そうなのか」とかえした。
「あなたがたがおれを誘拐して嘘を言っているのではなく?」
「俺が誘拐犯に見える?」
「だいたい犯罪者は『そう見えない』と言われるから」
詳細は省くが、左馬刻さんが突然――本当に突然だ――俺なんかに連絡をとってきて、今すぐ退社をしないと会社ごとおまえをぶっつぶすと言うものだから、外回りの途中だった俺はマイクで8歳になったという毒島さんを預かることになった。
追って電話をかけてきた機嫌の悪さを隠しもしない(そりゃそうだ。仲間を攻撃されたんだから)入間さんの説明によると、ヨコハマでは現在特殊なマイクが流通しており、それを毒島さんのプロトタイプマイクを狙うならず者が使ったその後遺症で子供の姿になってしまったのだという。
「どうしたら信じてもらえるのか......」
俺と彼は世間一般であるところの恋人に分類される関係ではあるが、俺は毒島さんのことについてほとんどなにも知らない。よって、八歳の彼が俺を信用してくれそうな情報、例えば彼の母の名前......、ましてや父のことなど知るはずもなかった。幼少期の彼がどんな風に過ごしていたなんてもってのほか。
恋人という立場でありながら、俺は毒島さんのことをなにも知らなかった。詮索くさいことはどうにも苦手だからと、向こうから話してもらえるのを待っていた甘えのせいだ。俺のせい。恋人だというのに、相手のことを知ろうとしていなかった俺の。
がくり、と頭をたれ、鬱屈としていると、毒島少年は「もしあなたが誘拐犯だとして、」と声をあげた。
「観音坂。あなたはどこか放っておけない誘拐犯だ」
毒島少年は、俺をアーモンドのかたちのくりくりした目で見上げた。その目からは、同情や心配の気持ちが見て取れた。毒島さんは献身的な性格だから、子供になったといっても、やはりその気質は変わりないらしかった。
「自分の名前をきちんとおしえてくれたうえに、20年後の世界だ、なんて言って誘拐する話なんか聞いたこともない。あなたがすごくユーモアがある誘拐犯なのか、それかほんとうにここが20年後か。どちらかだ」
「信用、してくれたってことか」
「二十年後のおれはどうなってる? 教えてほしい。観音坂」
毒島さんは、おそらく少年のときから軍を目指していたのだろう。8歳とはおおよそ思えない落ち着いた口ぶりに尻込みしながら、俺はひとまずかれにあたたかいミルクを出し、自分のぶんのコーヒーを入れた。
・・
「それで、第三次世界大戦が起きた。多くの人が思ったように、本土決戦には至らなかったけどね」
インスタントコーヒーを飲みながら八歳の子供に向けてする話ではないなと思いながら、俺は今の歴史の授業を始めた。これが俺の嘘であれ、本当のことであれ、毒島少年は俺の話すことすべてがおもしろいようで、真剣な顔をして聞いていた。俺は従軍した経験はないが、自衛隊であったそれは国軍として再編成され、海外の戦地に投入されたのはニュースで流れていたから知っている。
「君も、国軍だったんだよ。海軍一等軍曹、毒島・メイソン・理鶯」
「本当か!」
そう言うと、ぱっと顔を輝かせて毒島少年は言った。そりゃそうだ。28の彼が軍の復活を望むのと同じくらい、この少年は軍に入りたいと思っているのだろうから。
「でも、終戦後の今の日本ではすべての武力が撤廃された。H歴っていう新暦が適用されて、今は言の葉党っていう政治勢力の独裁状態だ。......難しい言葉、使いすぎたかな」
「ううむ、つまり?」
「二十年後の君は、海軍じゃない。元・海軍だ。海軍が解体されてしまったから」
「そんな。じゃあ、誰がこの国を守る?」
「誰なんだろう......」
それは俺にもわからないことだった。今は戦争をやっていないとはいえ、外部から戦力が投入されたらいまの日本は終わりだと言っていい。守ってくれるのは『日本は非武装国である』という肩書きだけ。
「あなたは、今日本は戦争をやっていないと思うか?」
「いや、それはどうだろう。H歴では女性支配が強くて、男性は抑圧されている。それに対して『日本を変えたい』と思うひとはいるかもしれないけれど、それは戦争じゃない」
「じゃあ、停戦をしているだけだ」
毒島少年は、ホットミルクをぐいと飲み干すと、続けた。「武器がいらなくなったとしても、いずれにしろ、いつか軍が必要になる」
俺は、ああ、この人はいくつになってもこの人のままだ、といやに感傷的な気分になって、彼の意志の強いマリンブルーの目、そこにたゆたう海原に思いを馳せた。
この少年を、俺はどうしても抱きしめてやりたくなって、コーヒーカップを置くと、隣に座った彼をぎゅうと抱きしめた。普段は腕だって回るか怪しいその体が、こんな華奢でもろくなって、腕の中にすっぽり入ってしまうのが信じられない。いっそこのままの方が、彼はしあわせなのではないだろうか、と邪悪な考えが頭に浮かぶ。
「ええと、あの。観音坂」
「あ、ああ。ごめんね。苦しかった?」
うめき声に、俺はぱっと離れる。毒島少年は、「28のおれを、ここに戻したい。おれがいないと、軍が消えてしまうのだろう?」と言った。そして、少し黙って、「あなたにも、返してやりたい」と続ける。
「えっ」
「おれはあなたと二十年後の世界の俺とのことをしらないけれど。大事なひとだ、ということはわかる。おれが大事だってあなたの目が言っていた」
「......はは、子供にもばれてしまうなんて」
こんな賢い8歳にあったことはない。俺が同じ年齢の頃なんて、きっと一二三に初めて出会ったころだろう。自分がどうだったかは忘れたが、ここまで聡い子供ではないに違いなかった。
「大事なんだ。毒島さんが。......理鶯くん、と呼んでも?」
「いい」
「ありがとう。本当に大事だから......。戻れる方法があるって知っていても言えなかった。8歳のきみにはあまりにもひどいことだから」
「ひどいこと?」
「ああ......、うん。とても......。そう、とてもね」
「それは死ぬより?」
「俺はどっちも同じくらい怖いと思う」
俺は、しばらくこれを言うかどうか、逡巡した。なんせ、あまりにもな方法だったから。けれど、理鶯くんに対して誠実であるべきだ、と判断し、「セックス」と告白した。
「セックスが――性行為が、戻る方法なんだ。今のところ、見つかっているのがそれしかない。ほかの手があるなら明らかにそっちのほうがいいと思って、いえなかったんだ。それに、まだ君の知り合い......、仲間が、情報を探してくれているし、急ぐことじゃない。待ったってかまわないんだよ」
理鶯くんは、しばらく黙っていた。そりゃそうだ。当たり前。セックスって単語、8歳の時に知っていたか? 答えは否。お父さんとお母さんの協力で子供は生まれます、という教科書のファンシーな文言が俺の頭に浮かんで、ぐるぐると回った。
「セックス......。それは、大人じゃないとできないんじゃないのか?」
おずおずと、恥ずかしそうに理鶯くんは言った。どうやらそれ自体は知っているようだった。アメリカの教育は日本より進んでいるのかもしれない。ハーフだと教育の方向性もちがうのかも。そんなことが浮かんでは消えた。
「大人じゃなくてもできるよ、一応。君は......まだ精通迎えてないかもしれないけれど、もし、きみが嫌じゃないなら、することはできる。男同士でもね。もちろん、俺なんかとになってしまうけれど......」
「いやではない。だって、あなたは大事なひとなんだろう。浮気はよくない。もし、あなた以外とと言われても、未来のおれのためにしたくない」
瞬間、中学生と教師の恋愛ドラマがヒットする理由がわかった気がした。こんな純粋にひとを想うことができる青少年を、俺はどうこうしなければならないのかと想うと、罪悪感でいっぱいになる反面、背徳感でぞくぞくとした。現実で教え子に手を出す教師は最低だと思うが、まっすぐな心に触れすぎたら、狂うのもわからんこともない、などと俺は彼を前にしてそんないいわけを心の中で繰り返した。
断じて俺はペドフィリアではないはずだし、そもそも好きなのは毒島さんだけであって、ならば子供の彼を好きになるのは当然で。つまりはそういうことで。ぐるぐると思考が堂々巡りをして、どうにかこうにかこれから及ぶであろう行為――青少年とのセックス――を正当化しようとしていた。
「......ほ、本当にいいのか? きみが嫌なことは、俺はしたくないんだ。ほんとうだ。ほかに方法があるかもしれないから、それこそ何年だって待てる。死んだんじゃないんだし」
震える声だったと思う。どんなにいい人になったって、興味がないなんていえなかったし、おさないこどもに興奮しそうになっているのは事実だった。最低だ。死んでしまえ。
「おれは? 待たなきゃいけないのか? 二十八の『俺』が、あなたを待っているのに?」
そう聞かれて、最後の防波堤になっていた倫理みたいなものがぐしゃぐしゃのゴミになって波にさらわれた。もうなんかどうでもいい気がした。神様もこれゴーサイン出してるだろ。アダルトビデオでもこんな展開ならん。
「じゃあ......、俺は準備をしてくる。きみは待っててくれるだけでいい。そこが俺の寝室だから」
「うん」
「わかったか、嫌だと思ったらすぐ言っていい。もうなんなら逃げてくれてもかまわないし、逃げられても俺の監督不足で怒られるだけだし、警察に行けば俺の知り合いの入間銃兎って人の名前を出してくれればいい。その人は君の信用できる友人だから。いいか」
言い含める俺はどんな顔をしていただろうか。おそらく犯罪者顔負けの形相だったろう。しかし、彼は「逃げたりしない」と言って寝室に行った。
どうせならもう逃げてほしかった。俺はまだ犯罪者になりたくない。それでも興奮で胸がどきどきと高鳴っていた。
・・
死にたくなりながら洗浄を終えて寝室に入れば、緊張した面持ちの彼が荒れ気味のベッドの上にちょこんと座って出迎えてくれた。碧棺さんが買ったというカットソーにハーフパンツの少年を、まだ昼間の太陽光がカーテン越しに照らしていた。
俺はというと、シラフでセックスができるかと冷蔵庫から度数が高めの発泡酒を引っかけて、ローションをひっさげて立っている。
「観音坂、お酒のにおいがする」
「ああ、うん。君みたいな子をけがすなんてもう、酔っ払わないとしようがない」
理鶯くんの隣に腰掛けると、酒の匂いが気になるのかそう指摘される。俺はおさない少年の長くすべらかな足をみながら、まぶしいなあと思った。こんなまぶしいものを今からおかしつくしてしまうのだから、化け物にでもなった気分だった。
「どんなこと考えてた?」
「ちっともわからない。そういうのよくわからないから。でも恥ずかしかった」
「そう......」
沈黙がちらかりぎみの部屋を支配して、俺たちをにらんでいた。覚悟を決めなければいけなかった。しなくちゃならないんだから、今するのも明日するのも同じことだ。なんでこんなアホみたいな方法でしか直らないんだとわめいて泣いてもどうしようもなかった。それで毒島さんがかえってくるならとっくにしている。
俺は、理鶯くんを見て、それから目を天井に移して、その手足ばかりがながくてほそい子供におおい被さってベッドで抱き合うことを想像した。なんだかあやふやで、想像しようとしてもうまくいかなかった。想像力は人類に与えられた才能なのに、こんなときはうまく働いてくれない。
「観音坂」
理鶯くんはせくように俺を呼ぶ。ぬくもるばかりのローションのボトルがちゃぽんと音を出す。後には退けなかった。俺は深呼吸をして、とりあえず、と口にだした。
「君はまだきっと勃起......セックスに必要なことも知らないし、しようとしてもできないかもしれないから、まずは、できるかどうか、たしかめないといけない。焦らずに、とりあえずきみが大人になる準備からはじめよう」
説明的に、なるべく事務的に、それでいてやさしく俺は言うように努めた。拒絶されたほうがマシなのに、ベッドに座った彼は全然怖がるふうもなく顔を赤くしていた。興味があるのかもしれない、と思うとかわいくてかわいくて、食べてしまいたいと思ってしまうからやめてほしかった。童貞しか相手にしない嬢の気持ちが痛いほどによく分かった。そして、分かりたくなかったと自嘲した。
「とりあえず、自分のズボンと......、パンツも脱いで。そう、上手。痛いことはしないから......。でも、もしいたかったら言うんだぞ。それで、目をつむってくれたらうれしい。それだけで大丈夫。なるべく気持ちよくなるようにするから」
俺は諭すように、むしろお願いをするように言って、理鶯くんの股ぐらに跪くように座る。そして、そのこどものちいさな性器をもはや握りすぎてゆだったような感じのするローションをぶちまけた手で握った。
「っ、あ!?」
「あ、ごめん。大丈夫、これ体に悪いやつじゃないから。安心して」
急に性器を握られて、驚いただろう理鶯くんはうぶな声を上げて下を向いた。ベッドの下に座っている俺の目と目が合い、お互い目をそらした。
「力を抜いて」
俺はどうにかこの小さい性器を勃起させて、大人にしてあげなければならなかった。片手にすっぽりとおさまってしまう幼いそれを軽くしごく。どうにも小さくてやりにくい。でも、いきなりフェラなんてやられたらびっくりしてしまうだろうから、手でどうにか済ませてあげたかった。
「ごめんね、座るから、俺の膝に乗って」
「......こうか?」
「ああ、ありがとう。いまから、さっきみたいに、きみのおちんちんを触るぞ。いいな」
「大丈夫」
膝の上で抱っこする格好になり、俺は手コキを再開する。まだ芯をもたないそれを、なんとか勃起状態まで持って行こうと、両手の指を祈るように交差させて(実際祈りながら)質の悪いオナホみたいにしてぐちゅぐちゅとしごいた。
「今、理鶯くんのきもちのいいとこ探すから、ちょっとまっててね」
はあはあと息が荒くなって、時折あ、とたかい声をあげて震える彼を見て、俺は、あの毒島さんが、泰然自若を人間にしたらこうなるだろうという人間が、こんなに小さくかわいらしくなって俺にされるがままになっていることに恐ろしく興奮して、臍のしたあたりがあつくなった。
「えらいよ。ちょっとずつ、おちんちんが元気になってきてるから、もうすぐだから」
じゅこじゅことローションがいやらしい音を立てる。手の中のものが芯を持ち出して、幼い亀頭が見えてきていた。俺はそれに気づいて、手コキで感じてくれているんだとどうしようもなく興奮した。ゴールは近かった。
「さきっぽでてきたね。これ、触ったらきっときもちいいから、さわるよ」
もっと乱れるところが見たくて、手つきがどんどん気をつかうやさしいものから性的刺激を強くもっと強くと求める乱暴なものになっていく。歯止めが効かなくなっていた。
ちいさい亀頭を、玉をもみほぐして、筋に沿うように両手で挟んでしたから上に絞り出すようにしごいた。おそらくまだ出るものはないだろうが、大人になることが童貞の喪失なら、これをまず俺に挿入できるようにしなければならない。
「う、だめ、それ」
「だめ? やっぱりやめた方がいい?」
俺は、女の子のような声をあげて亀頭を触られるのを嫌がる理鶯くんをみて、そう聞いた。完全なる意地悪だと分かっていてもやめられなかった。思った通り彼は黙って首を振った。けなげで愛しくて涙が出そうだった。
「どんな感じ?」
「すごく、気持ちがよくて。だめだ」
「何がか、わかる?」
「わからない......。爆発するんじゃないかってくらい、あつい」
聞くたびに、はあ、とあつい吐息が混じる。俺も、もう一刻もはやくこの子供の童貞を食べてはらにいれてしまいたかった。ローションを仕込んだ尻が、入れるものをもとめてひくついている。
「もう、たぶんこれで大丈夫だから。俺も、限界だし」
寝転んで、とお願いすると、彼は勃起した陰茎を恥ずかしそうにかくしながら、ベッドに横になった。俺はそれにまたがって、スラックスとパンツを脱ぐ。すでに興奮して勃起していた。使いもしないのに元気なことだ。
「男同士は、お尻の穴に入れるんだ。だから、きみのおちんちんを、俺のに入れます。さっききれいにしてきたから大丈夫。ほんとうに、君は寝ているだけでいいんだ」
「あの」
怖がらせないように、説明をする。そうすると、理鶯くんは蕩けた目で、「二十年後のおれとあなたがしているようにしたい」と切望した。俺は面食らって、動きを止める。
「観音坂、セックスしよう。テレビのこいびとみたいに」
事務的に、説明的に、と繰り返してきたものがなにもかもがプレスされ、とんでいった。「理鶯くんは、ませガキだ。そんなことをいうなんて。ほんとうに......」
どうにも泣きたくなって、キスがしたいと思った。俺が彼の背をかき抱いて、口を合わせるのに時間はかからなかった。
口を割ってちいさなベロをかんだり、まだ生えそろってない歯列のでこぼこをなぞった。そこからの部屋の支配者は獣欲だった。キスをしながら、俺はずぶずぶと彼の陰茎を自分の肉筒に収めた。
「射精はむりかもしれないけど、セックスをしたら大人に戻れるから。頑張ろう」
入ってきたのはほんとうにソーセージといったぐあいのもので、普段うけいれている剛直と比べたらそりゃあささやかな刺激ではあったが、ぺたんとすわって前後に腰を動かすと擦れて喘ぎが漏れた。
「は、あ入った......。童貞卒業おめでとう。なんて......。はは。もし、俺が動いて、動きたくなったら動いていいよ。それで、なにか出そうになったら教えて。大丈夫、おしっこじゃないから。たぶん、きみくらいだとなにもでないと思う」
それにこくりと頷き、彼は返事をした。上下は抜けてしまいそうだから、前後に激しく動く。騎乗位なんて普段ならしない体位だ。いつもと違うということが興奮をさらにあおる。
「う、うう......。観音坂、観音坂。こっちに。さっきと全然ちがう」
俺の名前を呼んで、切なそうに言う少年に、俺は言われるまままたかがんだ。
「またキスしてしてほしい。さみしい。ぎゅってしてほしい」
まるでいたいけな女の子みたいなことを言ってせびる理鶯くんに、俺は胸の高鳴りが抑えきれなかった。ぎゅうとつながったまま寝転んで抱きしめると、どくどくと彼の心臓のはやる音がした。感じてくれていると分かって、素直にうれしいと思った。
そのままキスを続け、ぐちぐちと体内で陰茎をあやしてやると、どくん、と腹の中で音がした気がした。
「あ、観音坂。なにか、出そうだ、これか? これで、戻れる?」
理鶯くんがうめいた。俺は腰の動きを速くする。互いにあいた口は粘膜をこすり合わせる器官と化していた。理鶯くんのくちのなかはあたりまえだが、ミルクの味がした。唾液がからまり、銀の糸になって垂れて落ちる。
「あ、あ、あ......」
蕩けきった少年は、俺の腕の中で、ぶるぶると震えて初めての男性的快楽を得た。びく、びく、とはねるからだを抱きしめて、えらいねとなでてやると、彼はうれしそうにはにかんだ。
・・
眠ってしまったの性器をきれいにしてやり、布団を掛けてシャワーから上がると、部屋には毒島・メイソン・理鶯二十八歳が座っていた。
「あ、ぶ、ぶすじまさん。戻ったんですか」
俺は八歳の彼にした無体を思い出して挙動不審になりながら、様子を伺う。この人におれはとんでもないことをしてしまったのだ、ということが冷静な部分を呼び戻した。
「ああ、貴殿のおかげだ。ありがとう。……それと、これは忍びない願いなのだが」
「は、はい!」
「理鶯と呼んでほしいんだが。さっきみたいに」
そこからの記憶がほとんどないのだが、入間さんの証言によると警察に出頭しようと110に電話をかけ、死刑にしてくださいと駆けつけた所轄に土下座していたらしい。
あとがき
こんな8歳いねえよっていいながら書いた