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SEEKER
理独 死ぬ!)
「俺の方が死ねばよかったって思ってます?」
窓を見ながら、左馬刻に身体中を包帯で巻かれた男が言う。「んなことねぇよ」
「気を遣わなくていいんですよ、ねぇ。俺だってみんな言ってるの知ってますよ。俺のせいで、俺のせい俺のせい俺のおれの」
「......チッ、また発作かよ」
左馬刻は、包帯からはみ出す茶髪をかきむしってギシギシとベッドにかけられた安全ベルトをちぎらんばかりに足を曲げようとする男を見て、ナースコールを押した。
ビーッ、ビーッ、ビーッと個室に響くブザー音を聞きながら、左馬刻は「理鶯」と声をかけた。返事はない。
飛び込んできたナースが、速やかに鎮静剤をうつ。手慣れているな、と左馬刻は思った。ナースは、「最近の発作なんです」と彼に説明した。
静かになった男は、天井を見て、窓をみて、それから自分の手を見た。それから、静かに口を開いてぽつんと言った。
「小官が死ねばよかった」
左馬刻は、「るせぇ、寝ちまえクソが」と吐き捨てて、病室を出た。ネームプレートには毒島・メイソン・理鶯と書かれていた。
ナースが理鶯と喋る声が聞こえる。「いいですか、あなたはタクシーの事故で......」
よくはならないだろうな、と勘が言っていた。だいたい、神宮寺寂雷の治療を受けてあれなのだ。どうしようもないのは目に見えてあきらかだ。
殺してやりてえな、とも思った。一緒にしてやったら、そうしたら、理鶯も。
あとがき
よくわからん
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