右から二番目の星
(新殺シェイ エロ小説です うすあじ)
新宿で聞いたシェイクスピアの言葉が、臓物にこびりついて離れない。その言葉はべったりとタールのように燕青の肺を冒して、息を苦しくさせた。
シェイクスピアをみるたび、おぞましいものをみたときのように神経がひりついて、そして、血みどろになった新宿でのかれのすがたが、汚れた自分の手が、フラッシュバックして、それで。
「それで、吾輩とセックスしようって?」
シェイクスピアが、くすくすと笑って、自分に覆い被さる若い青年に向かって質問する。
「よくするのですか」
「べつに、慣れてるとかそういうんじゃないって。おじさん」
というか、おじさんのほうが慣れてるじゃん。と燕青がいうと、シェイクスピアは「まあ、パトロンに対する営業はお手の物、ということで」と生前を匂わせた。
「ふうん」
燕青は、つまらなさそうに、書斎のソファに押し倒したシェイクスピアの赤いリボンをひっぱった。しゅるしゅると抵抗なくほどけていくそれは、無防備な首をまもるにはこころもとないな、と燕青は思った。
そのまませりだしたのどもとにがぶりと噛みつくと、「こら」とシェイクスピアはなだめるように燕青の一括りにした神をひっぱった。「そんなところにつけたら、見えますぞ」
「いいじゃん。困るのはおじさんなんだし」
「......ダンテス殿を呼んでも?」
「あ~、あ~。はいはい。ごめん、ごめんって」
ぺろりと犬が傷をなめるようにやさしく燕青はかみあとをねぶった。それから、シェイクスピアのズボンをずらしていく。「着たまま?」とシェイクスピアが聞く。「だって、誰かに見られたら困るだろ」そう言う燕青に、まあ良いでしょう、とシェイクスピアは笑った。
・・
「右から二番目の星の話をしましょう」
シェイクスピアの尻に唾液でぬらした指を入れて、燕青がほぐしていると、彼は突拍子もなくそんなことを言った。
「ちょっと、おじさん不感症? 俺がんばっていいとこさがしてるんだけど」
「まあ、いいではないですか。見つかるまでの戯言です」
燕青がぶうぶうと文句を言っても、シェイクスピアは話をやめなかった。
「ネバーランドは、空を見上げて、右から二番目の星を曲がったところにあるそうで」
「ふうん」
「あなたのネバーランドは、どこにあるのでしょうねえ、ッ!」
ケツをいじられてるっていうのに、シェイクスピアはのんきに、燕青には意味のわからないことを言う。それがおもしろくなくて、ぐちぐちとむちゃくちゃに指を動かした。
すると、シェイクスピアは、びく、とほとんど服を脱いでいないからだを跳ねさせ、きぬずれの音とともにソファにずり上がった。
「やっと色っぽい声きけた」
いたずらっ子のように燕青が笑って、そこをぐりぐりといじめると、さっきまでの、こどもに寝物語を聞かせるような態度はどこへやら、「あ、はっ、ふう......っ。え、んせ、い......どの......!」と快楽にとろけた表情をするものだから、燕青もすっかり興奮して、たちあがったものを下履きから取り出して、ぐにりとシェイクスピアの尻穴にあてる。
「ほら、見て、おじさん」
だんだん、俺のがなかにはいってくとこ。と燕青が目をぎらつかせる。シェイクスピアは、ぬぐぬぐと己の肉をかきわけて入っていく若い性に悦びの声をあげた。
「んうううう、あ゛あ、あ~~~っ」
「ん、......ぜんぶ入ったねえ」
「――ッ、ふー、ふ、はあっ、は、きゅう、には反則で......っ、で...す...ぞ!」
みっちりと熟れ尻を満たす肉棒をきゅうきゅうと締め付けて、シェイクスピアは腸壁を削られる感覚に脊髄をしびれさせる。
「んっ、ひっ」
「きっつ、オジサン、俺もってかれないように頑張るねえ」
「いいから、さっさと、うご、う、う~~~~~~!!!」
すっかりとろけたシェイクスピアの口に、燕青は自分の口を寄せる。髭が擦れてくすぐったかったが、合わせた唇は愉悦の味がした。舌をさしこんで、ぺちゃぺちゃとわざと下品に音を立てると、ぎゅうと後穴がしまる。高まった性感にまかせて、腰を振れば、シェイクスピアも燕青の動きに合わせて尻をゆるゆるとくねらせる。
「あ、あ゛ッ、も、もうッ」
唾液を垂らしたシェイクスピアが、限界を伝える。互いにもう上り詰めて、あとはもう落ちるだけ、というところだった。
「出すよ、ね、全部飲んでよね」
「ど、どうせ、そとに出す気なんか! ないくせに!」
「はは。まあね」
ふわふわとした頭で、そのままぐうと陰茎を奥の奥まで押し込んで、燕青は射精した。
シェイクスピアは、ぼやけた頭と視界に燕青の顔をいっぱいにうつして、愚かなことをしている、と思った。
もし、あなたがどこにもゆかれないというならば、右から二番目の星の角を曲がったところに、吾輩が座を作ってあげましょう、だなんて、らしくないことを言うほど、このサーヴァントを甘やかすなんて。
あとがき えろくない