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light turned off

(ランヴェ前提モブヴェ。獣姦あり。ショーン・マンデイとかいう謎モブがいます。エロくない。しかも死ネタ)

 俺はさ、友情とか愛情とか、そういったものが大嫌いなんだよ。
 ならず者のショーン・マンデイは何が楽しいのか、にやにやしながら言った。
 そばには、子どもを抱えた母親が倒れていて、この地下道にも漏れつたう雨のしずくから嬰児を守っているように見えたが、黄色のドレスの背中には真っ赤な血がにじんでいて、その体はじわじわと体温を失っているところだった。
 その女がそうしてまで守りたかった子どもはというと、慈悲深きショーンの手によって、なんとか助けられた。母を失って生きるには辛すぎる世界から、神の御許へ送り出されることで。
「この、卑怯者が!」
 ガシャン、と地下道の柱に鎖でつながれたランスロットが、吠える。ショーンは、なぜののしられたかわからない、という顔をした。
「お前を売った市民だぞ。騎士団長様よ。どうかお助けください、なんて、言わせた俺も大概悪党だが、嘘ぶっこいてお前をだまくらかした大女優も、あくどさでいえばどっちもどっちだろ」
 詭弁だ、とランスロットは思った。
 確かに女はランスロットをだましちゃいたが、助けて欲しいという彼女の言葉はほんとうだった。
 ――――ああ、騎士団長様! お助けください!
 街で駆け寄ってきた彼女の言葉には、ひとつも嘘はなかった。むしろ、助けてやれずこうして捕まっているランスロットが、己の無力さを恥じるほどだった。
「なんだよその目は。自分の立場分かってんのか、ランスロット団長よぉ!」
「が、はッ!」
 ショーンは、ランスロットの頭を持っていた剣の柄でガンとぶった。ぐわんと視界がゆがんで、目の前が白黒と色を変えた。吐きそうだ、とランスロットは思った。
「この女も、もしお前を連れてこられたら、息子だけは助けてやるって言ったら即答だったよ。愛情深い母親さ。だがまあ、俺ってばそういうのは大嫌いだから、両方殺してやったってわけだ」
「吐き気がする。そのくさい口を開くな、悪党が」
 ランスロットがぺっ、と血の混じったつばを飛ばすと、ショーンはおお汚い、と大げさな仕草でそれをよけた。
「そんな態度がとれるのも、今のうちだぜランスロット団長」
 ショーンは、おい、連れてこい、と背後に控えていた手下に言った。おたのしみボックスを開ける前のこどもみたいにわくわくした表情で、ショーンはランスロットの前にしゃがみこんだ。
「俺は愛情も大嫌いだが、友情も大嫌いだ。見ると、どうしてもメチャクチャにしたくなっちまう。お前には親友がいたな? ランスロット」
 それを言われて、ランスロットははっと表情を変えた。なぜそれを今持ち出したのか。それは察しの良い彼にはすぐに分かり、「ヴェイン!」と叫んだ。それはうわんとぶたれた頭に響いたが、そんなことを気にしている場合ではなかった。
「ぐ、はッ......! はは、ごめん、ランちゃん。俺、ヘマしちまった」
 ランスロットの前にどすんと蹴り捨てられたのは、鎖でぐるぐる巻きにされた幼なじみだった。さんざ暴力を受けたであろう傷が目立つヴェインに、ランスロットは自分のことも忘れて大丈夫か、と何度も聞いた。
「ほうら。涙ぐましい親友の再会だぜ。ははっ」
「なぜ、なんで、ヴェインがここに」
「そんなの決まってるだろ。お前を痛めつけるためさ。こいつも阿呆だね。甘ちゃんだ。親友が捕まったと聞いたらのこのこやってきた。それで、頭殴ってやれば、沈んだよ。どんなに鍛えたって頭だけはいつだって人間の弱点さ。天下の白竜騎士団の団長と副団長がこんなんでいいのかね?」
「そんな、馬鹿な」
「馬鹿なんだよ、実際さ」
 ショーンは、心底楽しいという風に足をタップさせ、くるりと回った。その姿を、二人はただただ呆然と見ていた。
「俺はあんたが憎い。おきれいなツラに、おきれいな言葉。一度国をひっくり返した原因に何を言われたって、俺たち市民になんも響かねえよ」
 そういったショーンは、一瞬、ほんの一瞬だけ、真剣な顔つきをした。
「ランちゃんを悪く言うなッ!」
 ヴェインがそう言うと、すぐに悪党の顔に戻って、にんまりと笑った。「はあ、おきれいな友情なこって!」
「涙がでるね。こいつ、お前が助かるなら、なんだってやるっつってんだ。実際、ぶたれようが、蹴られようが、文句一つ言わなかったよ。いい幼なじみを持ったなあ。本当に、恵まれた騎士さんだ」
「ショーンッ! ヴェインにこれ以上手を出してみろ、許さないぞ......!」
「だってさ。ヴェイン。俺は、アイツを今すぐ殺してやったって構わないんだが、どうだろう?」
「や、やめろ! それだけはしないって、約束しただろっ!」
 ばっ、とずだぼろのヴェインは、はじかれるように起き上がると、今にも泣き出しそうな表情でやめろと叫んだ。俺はどうなってもいいから、ランちゃんだけは!
「はあ、おたがいがおたがいを思いやってるねえ。優しいね。吐き気がする」
 ヴェインの背中を革靴で踏むと、ショーンは、ぐりぐりと踏みしめた。そうして痛みに苦しむヴェインと、やめろと鬼の形相でガシャガシャ暴れるランスロットを見ては恍惚とした。
「いいねえ、そういう顔だよ。そういう汚らしい顔を見せてくれなくっちゃ」
 ショーンは、ヴェインの頭を大きな手でがしりと掴むと、形の良い頭だなあ、とその場に似合わない感想を漏らした。「潰したくなる」続いた言葉に、ランスロットは暴れた。
「絶対、絶対許さないぞショーン・マンデイ......。俺も、ヴェインも、お前のような下衆に屈するものか!」
「はあ。だからそういうおきれいなやつはいらないんだって。気持ちが悪い。ああ、めまいがする」
 むかつくから、あれやろう、アレ。ジェームズを呼んでこい! ぱっとヴェインの頭を放すと、ショーンは手下に再び命じて、奥から大きなシェパード犬を連れてきた。
「なあ、ジェームズ。お前腹減ってしかたねえだろ。興奮剤たっぷりの肉をやっから、俺の覚えさせた芸もできるだろ? 見ろ。お前と俺の大嫌いな友情ってやつを、今からぶっこわしてやろう」
 ショーンは、慣れた手つきで唸る犬を撫でると、そいつに肉を食わせた。ガツガツとジェームズはそれをかっくらって、飢えた目をぎょろりと不気味に動かした。
「ランスロットの親友......ああ、口に出すのもいやだね......ヴェイン副団長。約束通りのことをしよう。お前が犠牲になってくれれば、俺はランスロットに同じことを一切しない。俺は最初に約束したな? 守ろうじゃないか。ヴェイン。お前はこいつに食われてくれるな?」
 その意味が分かったランスロットは、蒼白になって、腕が鎖に擦れて血がにじむくらいに大暴れした。
「ああ、俺が悪かった! 俺が、俺が罰を受けよう! なあ、ショーン! 俺にしてくれ! 俺に! やめてくれッ! 頼むっ!」
「おうおう元気なこった。叫んでるなあ馬鹿みたいによお。俺はヴェインと話してるんだ。ちっとはおとなしくしてくれないもんかね」
 ランスロットは、嫌だとわめいた。しかし、ヴェインはショーンの誘いに頷いた。

・・
「うう、はッ......! ぐっ!」
「ヴェイン、後ろは初めてか? 痛かろうにな」
 口で言うほどにはわずかの気遣いもなく、ショーンは倒れたヴェインの下履きを下ろすと、興奮剤で理性を手放した獰猛な猟犬のいきりたった逸物を、慣らしもしないであてがった。無理矢理犬のペニスをくわえ込まされ、ヴェインはうめき声を上げる。
 初めてであろうがなかろうが、犬と性交などさせられてしまえば、誰だって苦しかろうに、ヴェインは額にあぶら汗をにじませながら、「ランちゃんは大丈夫か?」とショーンに聞いた。
「おうおう、大丈夫だ。元気にお前の心配をしているさ」
 それならよかった、と犯されているにも関わらずヴェインは笑った。犬のピストンに、耐えるようにしながら。
「ああ、ヴェイン......! ヴェイン! やめさせろ、俺に......俺が代わりになんでもするから......ショーン......!」
 ショーを見せつけられているランスロットは、壊れたおもちゃのように、何度も何度もヴェインの名前を呼んで、やめさせろと狂乱した。しかし、それが聞き届けられることはついぞなかった。それどころか、すっかり発狂してしまったランスロットを、ショーンはくびり殺した。最期まで激怒のほのおに揺れた瞳が、ショーンを見ていた。
「なんつう、うるさい楽器になっちまって。ヴェイン、......ああ、もうダメか。トんじまってる。それで、約束したよな。俺ってば優しいから、ちゃんと守ったろ?」

 同じことをしないって! ショーンの嘲るような笑いが、しめっぽい地下道に響いた。

 

 

 

 

すまんかった

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