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外伝・誰にも言えない密室事件

(コラボのネタ。レイラ=シャノワール。カロリーナさんが腐女子。女装攻め。非合意だけどバロワさんがチョロい.。あんまりエロくない)

 洋館の入り口でバロワとサーヤが出会った、女性ばかりの集団。
 キャンドル探偵団――そんなものが存在していたとは。あの無駄に顔の良い、目立ちたがりの怪盗のことだから、ファンクラブくらいあってもおかしくないだろうが、まさか自分もとは。バロワは面食らったが、まあ、娯楽に飢えたものたちには、怪盗と探偵だなんて本の中の存在が実際に追いかけっこをしているのはさぞかし面白かろうな、とどこか他人事のように思った。
 まあ、なんにせよ、自分に(名探偵の自分に!)ファンがいる、というのは気分は悪くなかった。

・・


「うーん。俺の腕力でもびくともせん。どうやら閉じ込められてしまったようだ」 扉を隔てた向こう側から、お~い、探偵のおっちゃん! 大丈夫かあ! と、ビィくんの声が聞こえてくる。
 普通の扉だと思って開けた部屋が、仕掛け扉の罠だったとは――。バロワは小股と頬をかいた。団長くんたちが言うには、中から開けるしかないようだが、今までの部屋と違ってキーとなる謎解きがどこにもないのだ。
 今までの部屋とはどこか違う、とバロワが考えていると、
「なんか、アタシたち、閉じ込められちゃった感じ?」
 キャンドル探偵団の一員、レイラと名乗ったエルーンの女性ダンサーが声をかけてきた。
「ああ、すみませんが、そのようです。今までの部屋と違うようですから、元々あった仕掛けではなく、ヤツが用意したものでしょう。ただ、手がかりがどこにもありませんので、今団長くんらに調べて貰っています。しかし、まあ、少し待つことになるかもしれませんな」
 バロワが努めて冷静に、丁寧に事情を説明すると、一緒に閉じ込められてしまった女性は、なぜか嬉しそうにわあと声を上げた。
「それは、すごいじゃない~? さすがシャノワール。探偵サンでも解けない謎を仕掛けちゃうなんて」
 ハスキーな声で、ニコニコと笑って話すレイラ。
 そういえば彼女はシャノワールのファンだったか、とバロワははじめの自己紹介を思い出す。どうにもやりにくい、とバロワは緊張感なくベッドのへりに腰掛けてくつろぐ彼女を尻目にどこか手がかりがないか部屋を物色した。
「全く、シャノワールめっ。俺を閉じ込めて、自分は逃げおおせようなんて絶対に許さんぞ。今日という今日は絶対に捕まえて牢屋にぶちこんでやるっ」
 ガサゴソといろんなところをひっくり返して探せど、やはり部屋内からは何も見つからなかった。すっかり疲れてしまったバロワは、レイラが座っているベッドに寄りかかり、地べたにべたんと腰を下ろした。
 はああ、と大きなため息をまたつくと、レイラがバロワのほうに寄ってきて、
「すごいね~、やっぱシャノワールは」
 と言った。
「確かにヤツの頭脳は素晴らしいの一言ですが、怪盗――――犯罪者なのですよ、レイラさん」
「いいじゃない。アタシ、アウトローな男の人好きだし~」
「とにかくっ。ヤツは犯罪者でいけすかなくて、未来永劫わかり合えることなんか決してないっ。この名探偵バロワが絶対に引っ捕らえてやる!」
 バロワはついついアツくなって、口調が砕けるのもかまわず断言すると、ふんっと鼻を鳴らした。
 それを見たレイラは、あははと声を上げて、
「カロリーナは~。そういうとこがイイって言ってたなあ。アタシにはわかんないけど、怪盗と探偵のめくるめく禁断の関係ってやつう?」
 と言うので、バロワは「ああ!?」とたまげて飛び上がった。
「俺と!? シャノワールがッ!? ぜっっったいにあり得んッ!」
 ぞわぞわと肌に悪寒が走る。
 そんなことを噂している者もいるのかっ、バロワはふらふらとめまいがして、ベッドに突っ伏すようにして崩れ落ちた。
「あはは、ねえ。............禁断の関係というのも、面白いかもしれないね。名探偵?」
 レイラの声が急に低くなる。はっとバロワが顔を上げると、そこにいたのは紛れもなくエルーンのレイラだったが、三日月型になった口元は親の顔より見た男を想起させた。
「シャ、シャ、シャノワールッ!」
 バロワは驚きの声をあげると、本能的にシャノワールを捕まえんとそばにあった腕をぐいと引っ張り、両腕でしっかりと体に腕を回して締め上げた。
「ハハッ! 捕まえたぞシャノワールッ! 今回はうまく化けたようだが、密室のここでネタばらしをするとは!」
 ぎゅうぎゅうと相手の体を抱きかかえるようにして、バロワは子供のように喜色満面の笑みを浮かべて高らかに笑った。
 しかし、シャノワールは少しも動揺せず、バロワの腕の中でふふ、と含み笑いをした。
「しかし、ここが密室ということは、私がシャノワールであるということを知るのは探偵、君だけなんだ。......つまり、アタシが悲鳴なんかあげちゃったら~。どうなるかわかるよねえ?」
 シャノワールの声からレイラの声へ、腕の中の物体が変わる。そこで、鈍いバロワでも今の状況がどんなものであるか気づいてしまった。
 密室、無理矢理抱きしめられた女性、そして自分。これでシャノワールがレイラの声で悲鳴なんかあげてしまえば、明らかに自分がけだもの扱いされるのは目に見えていた。最悪、捕まるのは自分だ。
 バロワはすっと青ざめる。ここまで計算済みだったとは。恐ろしいやつだ、シャノワールというやつは。
「女性の姿をした私に乱暴したらどうなるか、わかったようだね。名探偵」
 緩んだ腕から猫のようにするりとシャノワールは抜け出すと、バロワがろくに抵抗できないのもあるが、レイラの細腕からは想像できない強い力でバロワをベッドに突き飛ばすと、馬乗りになるようにしてベッドに縫い止めた。
「ひ、ひきょうものっ」
「少しぐらいズルをしないと、解決しない問題もある」
 シャノワールはやけに楽しげだった。彼は変装を解かないまま、バロワに向けてレイラのたわわに実った胸を見せつける。
「いやあ、セックスアピールの強い格好をしたつもりだったのに、君はひとつも動揺しなかった。私にしては頑張ったほうなんだがね、一瞥すらしなかったのはすごかった。本当に君には性欲というものがあるのかい?」
「バカいえっ。初対面の女性にそんなぶしつけなことができるか! それに、俺は一生懸命なんだっ。貴様を捕まえて牢屋にぶちこむことしか頭にない!」
 きっぱりと言い切るバロワに、シャノワールはなにが嬉しいのか機嫌がよさそうに、「これじゃ、禁断の関係なんて言われてもしかたがないとおもうけど~?」とレイラの声で言った。
「その声をやめろ気色悪い」
 バロワは顔をしかめる。怪盗が何をしたいのかさっぱりわからず、動けないでいると、シャノワールはレイラの整った顔をちかづけると、軽くくちびるをふれさせた。
「な!?」
 驚いたバロワはシャノワールを払いのけようと衝動的に手を振りかぶるが、脅しを思い出してぐっとこらえた。
 完全にイニシアチブを握られている。向こうがレイラの格好をしているかぎり、バロワはどうしようもなかった。
「ファーストキスかな。名探偵」
「うるさい、なにがしたいんだ。今は手も足もでんが、あとで覚えていろ、シャノワール。絶対捕まえてやる」
 ぎっとにらみつけてくるバロワに、シャノワールはますます上機嫌になる。気分は最高潮、といったふうだった。
「ああ、君は本当に......」
 それだけ言うと、シャノワールは掴んだバロワの手を、自分のスカートの下からくぐらせ、屹立した中心をさわらせた。
「な、な、な」
「前バリがすっかりずれてしまったよ、名探偵。君のせいだ」
「俺が何をしたっていうんだっ」
 バロワは顔を真っ赤にして叫ぶ。あくまでも、外に聞こえないよう控えめに。
「君が責任をとるべきだ、名探偵。君が勃起させたんだから」
「はあ?」
 混乱で頭がぐるぐるするバロワは、すっかりなにがなんだかよくわからなくなってきて、ズボンのベルトに手をかけられているというのに止められなかった。
 パチパチと音をたててベルトは外され、ズボンはずるりと膝のあたりまでずりさげられた。
「シャ、シャノワールッ! なんだ、どういうことだ、説明をしろ!」
 最近新調したばかりのコートを着たまま、下半身だけ下着姿にされ、さすがに慌てたバロワであったが、最初の脅しが効いていてなにもできずうつぶせに転がされる。
「ま、待ってくれ! 正気かっ、目を覚ませっ」
「夢なら何回も見たよ名探偵。嬉しいことに、ここは現実だ。ああ、君には残念なことに、か」
 尻を突き出す格好になってようやくなにが起こるか分かったバロワは、必死に後ろを向いて言葉でシャノワールを止めようとするが、このときを待ちわびていたシャノワールは、やめるはずもなかった。
 あらかじめ持ってきていた香油を腰のかわいらしいアンティーク調のポシェットから出すと、バロワの尻にかけた。
「ひ、つめたっ!」
「我慢してくれたまえよ、名探偵。こうしないと、私のが入らない」
 痛かったら言ってくれと、言ったところでやめるわけもないことを言って、シャノワールは香油のすべりを借りてバロワの尻に指をいれた。
「う、ン! ヴ、ふ、は......!」
 体内でうごめく異物感に、バロワはコートの袖をかんで耐えた。シャノワールの(それは彼が変装したレイラのものだが)細い指が腹の中で抜き差しされる感覚は蛇が腹を這い回っているようにも感じられた。
 まるで拷問だ、とバロワは思ったところで、はたと思う。これはきっと拷問だ。軍人だったときの経験が、彼を強気にさせた。拷問なら耐えられる。シャノワールめ、こんなことをしたって、俺は屈しない!
「ば、バカめ、貴様に犯されたって、は、俺はッ、諦めないからなッ! 地獄の果てまで、んッ、追いかけてやるッ!」
 バロワが息も絶え絶えに宣言すると、シャノワールは指の動きを止め、引き抜いた。
「すまない名探偵、そんな熱烈な告白を受けたら、ひどくしてしまいたくなる......!」
 シャノワールはスカートをたくし上げると、性器をとりだし、バロワの尻穴に押しつけた。
「は、あ、はぁあ、う、う~~~~~~~ッ」
 ぐ、ぐ、、と押し込められる性器に、バロワは圧迫感で獣のようなうめきをあげた。やがてぴたりと根元まで挿入されると、シャノワールは体を前倒しにし、上半身を密着させてきた。
 柔らかいものが背中に当たる、と思えばそれはレイラの胸であった。
「こうしてみると、......、女のアタシに犯されちゃってるみたいだね~」
「わ、るふざけはやめろッ、シャノワール!」
 レイラの声を出すシャノワールは完全にからかっているのだろう。バロワが抗議すると、「すまないね。つい意地悪をしてしまいたくなる」とささやかれた。
「ん、締まったね名探偵......。私の声の方が、いいのかい」
「ち、ちがッ、う! 知らん!」
「ふふ、かわいらしい探偵......。動くけれど、あまり大きな声は出さないほうがいい。気づかれてしまうよ」
 そう言い残して、シャノワールはその体勢のまま腰を動かし、律動を始めた。
中に入りこんだものがずるりとでて、また入っていくたびにバロワの直腸はシャノワールの陰茎の形を確かめるようにぎゅうとしまった。
 準備もろくすっぽせずいれられて痛いかどうかと言われれれば、そこまででもなかった。それよりも、気持ちいいのがバロワにとって重大な問題だった。あの怪盗に犯されて気持ちが良いなんて、探偵の沽券に関わる、と冷静なバロワが頭の片隅で叫んだが、快楽の波に襲われて冷静でいられるはずもない。
「あ、しゃ、のッ......。あう、ぐ、うっ、あ、は、あ、あ、あ」
 男の動きが速くなる。それにつられて、バロワも高いところまで連れて行かれる。情けない! と冷静な自分が言ったが、情けないことにバロワはシャノワールによって絶頂してしまったのである。
「あ、あ~~~~~~~ッ!」
 声を上げて白濁を吐き出すと、その締め付けでシャノワールも射精したようだった。中に出さなかったのは、証拠を残さないためだろうと絶頂して冷静になったバロワは思う。
「かわいらしかったよ、名探偵」
「誰が、かわいいもんか。クソッタレ」
 バロワはくたりと倒れて、射精してもなおひょうひょうとした態度を崩さずバロワの尻にかかった精液を拭っているシャノワールを恨めしく思った。
 それにしてもどうして犯したのか、バロワの頭脳ではわからなかった。
「いつか絶対捕まえてやるからな......」
「せいぜいどうか諦めたりなんかしないでくれたまえ。......アタシらキャンドル探偵団なんかに先手をとられたりしたらだめだよ~」
 そんなことを言ったきり、シャノワールはすっかりレイラに戻ってしまった。


・・


 ビィたちが戻ってきたのはそれからすぐのことだった。やはり外に手がかりがあったようで、バロワは脱出に成功した。
 シャノワール――――レイラはなにごともなかったかのように振る舞っている。ここで自分が告発してもなんにもなるまい、恥をかくだけだと諦めて、ベイカからやってきた探偵一同と合流した。
 ただ、蝶ネクタイの少年だけは、レイラとバロワを気まずそうな顔で見ていたのだが、それはバロワのあずかり知らぬところの話だった。

 

 


おわれ

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