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待てなんてできませんっ!

(リクエスト:えっちがしたいヴェインくんがパーさんを襲い受け)

 パーシヴァルとヴェインが恋人同士になってから、一ヶ月と十六日が過ぎていた。
 一ヶ月と十六日は、イコールヴェインが三十と十六回一人で夜を過ごした時間でもあった。つまるところ、パーシヴァルは、一ヶ月と十六日経っても、ヴェインに手を出してこなかったのである。
「は~~~~~」
 ヴェインが、グランサイファーの談話室で大きなため息をつくと、目の前で彼の手製のホットケーキにたっぷりとメープルシロップをかけていたクロエが、口を開いた。
「ぃや、一ヶ月とかまぢありぇないから。その時点でさあ。女うたがったほうがいいっしょ」
「いや、パーさんが俺のこと好きってのはわかるっつーか、そういうので悩んでるんじゃねえっつーか......」
 ヴェインは、しょんぼりとした子犬のような顔で、談話室のテーブルに顎をのせた。クロエは、ホットケーキを綺麗にとりわけると、ぱくりと一口食べて、でもさ~、と続ける。
「パーシーはヴェインの彼ぴぴなワケでしょ。ガチで」
「ま、まあそうだけどよ」
「なら、一ヶ月も放置とかありぇなくない? パーシーちょ~イケメンだけどさあ、釣った魚には餌やらなぃ系とか最低ぢゃん」
「いや、パーさんも忙しいしさ。俺もまあ気長に待とうかなあなんて」
「それぜっっっったいダメだし!」
 びしい! とネイルがきまった指をクロエはヴェインに突きつける。はぐ、とホットケーキを食べると、「好きなら待たなぃ! 常識っしょ!」と強く言った。
「我慢してチュラァピしてなぃで、実行ァルのみしかないって。てかほんとヴェインのスイーツ美味すぎだょね~。わら」
 クロエのマシンガントークに、ヴェインはたじたじになりながら、「あ、ありがとよ」といった。クロエはそれで満足したのか、ほんとマヂうま! とあっという間に平らげてしまった。
 結局、クロエの言いたいことの半分もよくわからなかったが、好きなら待たない、という言葉がヴェインの頭に残っていた。


・・


 そう。待てないのである。ヴェインだって、パーシヴァルと恋人になったのだし、そういうことがしたいのである。つまるところ、セックスがしたい。
 一ヶ月と十六日だ。それだけ待った。待ったのだ。『駄犬』とよばれてもいい。いやむしろ、ここまで我慢できたのだから、『良犬』なのではないだろうか。
 そう思いながら、ヴェインはパーシヴァルの部屋の扉を開けると、そのままベッドで寝転んで読書をしていたパーシヴァルにのしかかった。
「おい。駄犬! ノックもなしに入ってきたと思ったら、どういう了見だ」
 どういう了見だと聞きたいのはこっちだ。こっちはしたくてたまらないのに、そのドライな対応はどうなんだ。ヴェインは憤然として、怒った顔をつくると、「パーさんが手ださないから、セックスしに来ました!」と正直に言った。
「な、な......。まだ昼間だぞ!」
「昼間も夜もあるもんか。このいくじなし! 俺は一ヶ月と十六日待ちました! でもパーさんはキスすらしてくれません! 限界です!」
 ヴェインは吠えるようにそういうと、パーシヴァルのゆったりとした私服の股間を掴み、動揺故に反応が遅れたパーシヴァルの萎えた陰茎を取り出すと、思い切ってぱくんと口に含んだ。
「おいっ、やめろっ」
 やめろと言われても、今ばかりは聞いてなんかやらない。口をいったんはなして、れろりと舌を這わせると、しょっぱい味がした。
「かたくしといて、やめろはないんじゃない。パーさん」
 ヴェインがにやりと悪戯っぽく笑うと、パーシヴァルは悔しそうな顔をした。こういうところがかわいい、とヴェインは思う。
 大きく息をすって、先ほどくわえたソレをさらに深くくわえこんで、頭を上下させながらずぽずぽとストロークさせる。苦しいけど、ずっとやりたかったんだと示すためにはヴェインは何でもやるつもりだった。
「おい、バカッ、バカ犬ッ! は、あっ、~~~~~~~ッ!!! くっ!」
 ビクン、とパーシヴァルが体を震えさせ、ヴェインの顔をひっつかんで引き剥がすと同時に、射精した。
「......、は、はあ。へへ、顔についちまった」
「この、なにが」
「なあなあ、気持ちよかった? ......それより、俺。パーさんのまだたってるそれ、欲しいなあ」
 ヴェインはずるりとズボンを脱ぐと、半立ちになったペニスを持ち上げて、ひくつく尻穴をパーシヴァルに見せつけた。
「ここに、ずっと奥まで、いれてくれよ。パーシヴァル」
 ずっと待ってたんだ。今更待てはナシだぜ? ヴェインはそういうと、パーシヴァルはゴクリとつばを飲み込んだ。
「ああ、貴様がその気なら、乗ってやらんこともない。一ヶ月といくつだったか。そのぶんヒイヒイ言わせてやる」
 パーシヴァルは低い声で言うと、ヴェインを力任せに押し倒し、がぶりと乱暴に口づけた。ヴェインは吐く息まで飲み込まれ、パーさん待ってとも言えず、口の中で這い回るぬるりとした舌が自分の舌と擦れ合うたびに言いようのない快楽を感じて体温がぐんぐんと上がるようなそんな心地だった。
 うえからだらだらと流れてくる唾液を飲み込み、それでもあふれたものは口の端から垂らし、激しい口づけは続く。
 ぷは、とようやく解放されたヴェインは、はあはあと大きく息をしていた。言葉にならず、目ではやく、はやくとせかすと、「分かった、こっちももう我慢ができん」貴様のせいでな、とぴたりと尻穴にペニスをあてがうと、そのまま強引に腰を進めた。
「ん、う――――ッ!」
「く、は、全部入ったぞ、分かるか」
 ヴェインは一ヶ月と十六日待ち続けたものが与えられた喜びに、夢かも知れないなんてばかみたいなことを思った。どんなみっともない顔をしているかは分からないが、パーシヴァルがしまりのない顔だ、と機嫌良さそうにいったので、緩みきった顔をしていたに違いなかった。
 動くぞ、という言葉とともに、パーシヴァルは腰をがつがつと動かした。
 その余裕のない動きに、やはりパーシヴァルもこうなることを望んでいたのだとわかる。
「はあッ、パーさ、パーシヴァルッ、もっと、は、もっと......」
「この、くそ、はっ、こらえ性のない......ッ」
「だあって、ずっと、待ってた、っから、パーさんのこと、好き、だしッ」
 好き、という言葉に、腹の中のそれが大きくなる。それはどく、どくと脈うち、パーシヴァルは苦しそうな顔をしていた。ぐ、と奥を突き上げられるたびに、腹のなかがしまってあられもない声が出た。
 日が傾くころには、ふたりは汗だくで、中途半端に脱いだ服がべっとりとくっついて気持ち悪かった。精液でよごれた腹や、満たされたナカの処理をしなければならなかったが、二人ともべったりとくっついて倒れていた。
「くそ、こんなつもりじゃなかった」
 理性が戻ったパーシヴァルは、悔しそうになんどもそんなことをいった。どんなつもりだったんだよ、とヴェインが聞くと、きちんと準備をして抱きたかったと告げられ、かわいいことを言う、と思った。それが顔に出ていたのか、ぎゅっと鼻をつままれ、「ぎゃん」とヴェインは犬のような声を出すハメになった。
「でも、待たせたパーさんが悪い」
 ヴェインがそう主張すると、パーシヴァルは気まずそうに、「それはすまなかった」といった。そして、これからは覚悟しろとも。
 おうともよ、とヴェインはいって、パーシヴァルの鼻先に小さくキスをした。

 


自分がリードして良い雰囲気の中初夜を迎えたかったパーさんの負けエンド

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